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筋少ちゃんアンケート 回答ご紹介

aishi様より回答いただきました。mixiに入っていないと見れないので、許可いただき転載します。
とても想いのこもった長い文をいただき、とても読み応えがあって嬉しいです!
※これまでの回答は、上のタイトルの「アンケート」のところをクリックすると一覧が出ます。

1:好きになったきっかけ
 筋少がメジャーデビューした頃、所謂ナゴムギャルだった友人の妹から話などを聞き、興味をおぼえ、深夜にテレビ番組で「釈迦」のPVを見て(だったか、先の友人妹に、ビデオ「KIN-SHOWの大残酷」を見せてもらったのが先だったのか、そのあたり記憶があやふやなのですが)、「悪魔のいけにえ」をコミカルにしたような映像の内容と、古典的といっていいぐらい、ストレートでハードな音の組み合わせが面白いと思ったのが、きっかけです。


 2:ファンになった時の時期と、よかったら年齢も
 上記のように「仏陀L」が出た少し後です。1988年の秋頃。年齢は、もう高校は出てました、という事でご容赦を。


 3:好きな曲を1〜3曲くらい選んで、コメントをどうぞ。
 ・「少年、グリグリメガネを拾う」
 「月光蟲」の、「風車男ルリヲ」からこの曲への流れが好きなので、本当は2曲セットで挙げたいところなのですが。
 「筋少の大海賊vol.1」で聴いてもつくづく思うのですが、ライブ映えする疾走感がとにかく格好良い。
 間奏の橘高ソロも、長さはないかわり、楽曲全体のスピード感を引き立てて的確、曲全体の持つうねりに乗る歌詞も、一つひとつのイメージが鮮明に表現されていて印象深いものが。ヘッドホンで聴いていると、相乗効果が生むグルーヴ感に脳が食されていくような気になります。
 余韻を残す、意味深な歌の終わり方もgood good.「月光蟲」が出て以来、三日月を見るとこの曲を思い出します。
 ・「ノゾミのなくならない世界」
 橘高メタル曲と内田さんのプログレ大作、どちらも大好きで、どれか1曲を、と思っても甲乙つけがたいため、お二人の名義になっているこの曲を。
 ポルカ×メタルという、異種格闘技戦な曲の作りにプログレの香りも漂う作品で、テンポの良さもこちらの耳と心を高揚させてくれますが、それに乗せて歌われる歌詞が、「ファン心理」なるものの側面をグサリと突いていて秀逸。
 エンディングの哀愁のギターも耳に残りますが、緩急を心得、最後のシメもしっかり押さえて余韻を残す太田さんのドラムがたいへん好きです。実に男前なお仕事でした。

 ・「サーチライト」
 「機械」とどちらにしようか迷ったのですが、こちらに。
 復活後『ロッキンf』誌のインタビューで、内田さんが、「筋少って恐竜だったんだよ」とおっしゃっていましたが、まさに90年代筋少の恐竜ぶりを象徴する曲だと思います。
 9分33秒の長丁場を貫く緊張感、「やあ詩人!」のかけ声から、各人のソロパート、語り、すべてが一部のスキもない。
 どれか一つのパートが欠けても、たちまち崩落する巨大な建造物。それが崖っぷちギリギリに建っていて、そこに対峙させられている、という気分になってしまう曲です。
 うっかりすると聴く側も生気を吸い取られそうになる怪物ナンバーですが、絶望と希望が表裏一体になりつつ、きわどいところでタイトロープの彼方の光を見せてくれる歌詞に励まされ、鼓舞されるのも確か。
 歌(音楽)で世界は変えられない、しかし、歌い続けることは希望となるのだ、ということ――いささか大袈裟な解釈かもしれませんが――に、聴き終えた後はしばしば思い至ります。
 ただ、「キラキラと輝くもの」で聴くと、余韻はすぐに「そして人生は続く」の、とことんポップで前向きなイントロにかき消されてしまうのですが(苦笑。でも、これもいい曲です)。


 4:ライブで聴きたい曲を5曲選んでください。
 ・「スラッシュ禅問答」
 ・「パレードの日、影男を秘かに消せ!」
 ・「パリ・恋の都」
 ・「銀輪部隊」
 ・「ペテン」

 定番曲以外で、かつ滅多にやらない(もしくは、ライブではやったことのない)ナンバー、というところで選びました。
 「エリーゼ」以降の選曲に偏ってしまいましたが……。
 「スラッシュ禅問答」は、「大公式2」ツアーで聞きそびれたというのもあるので、是非またどこかで演っていただきたいです。オーバー40バンドの体力が限界にならないうちに(笑)。
 

 6:筋少トリビュートを誰にやって欲しいですか?アーティスト名と曲名も思いついたら教えて下さい。(いくつでも可)
 ・ゴルゴダ(戸川純×三柴理のユニット)でバラードアレンジした「境目のない世界」を。もちろん、橘高氏にはアコギでゲスト参加希望。
 ・及川光博君に「愛のリビドー」か「バラード禅問答」を。シアトリカルに盛り上げて歌っていただきたいですね。
 ・ジャニーズ系アイドルグループに「その後or続き」を歌ってもらうのも面白そうです(もちろん、一度ケンカ別れして合流した人たちのほうが説得力あるでしょうが……)。本城さん曲は実にキャッチーなので、バンド編成以外の形で歌われても、すんなりはまりそうな気がします。

 ちょっと冗談ぽくなってしまいましたが、異なるジャンルの人たちに取り上げてもらうことで、楽曲自体の良さがまた新たな形で出てくれるのでは、と思った次第です。
 本当のところは自分で考えるより、もしも実現されたとき、集まってきてくれた顔ぶれを見てビックリしたい、と思っています。フォロワーを公言されている人たちだけでなく、意外で面白い人たちがけっこう集まってきてくれるのでは、という気がするので。


 7:筋少に影響を受けて何かをした出来事や、何かを始めたことはありますか。
 メンバーが好きだというプレイヤーの音に注意して、アルバム等を聴くようになりました。
 ジェフ・ベックのアルバムだったら、ギターだけでなく、サイモン・フィリップスのドラムにも注意して聴く、とか。

 あと、「仏陀L」を聴いたおかげで――おかげっちゅーことはないですが――プログレ熱が再燃し、深みにハマりまして。
 それ以前はユーロ・ロックというと、メジャーどころしか手を出していなかったのが、英米伊あたりでは留まらず、ヨーロッパ各国、はてはブラジルあたりのバンドまで触手を伸ばして聴き漁るようになり、ふと気が付けば、立派なオタクと化していました。
 その手の中古・新品CD&レコード店(東京でいえば「ディスクユニオンプログレ館」や「新宿レコード」のような)の常連となり、どれほど散財したことか……。しかし、おかげでその後の音楽ライフは豊かになったといえるでしょう。感謝してます。


5:メンバーの好きなところは?(全員それぞれでも一人でも可)
 大槻ケンヂ:同族嫌悪(厚かましい)なところもあって、長い年月、愛憎半ばする感情を抱いていましたが(苦笑)、筋少復活後は素直に応援しております。
 ロック人生の酸いも甘いも経験し、腹の据わった良いオーバー40になったと思います。そのぶん毒気は抜けたかもしれませんが、詩人としては変わらず尊敬しているので、それもまた良し。
 とりわけ、ここ数年の彼のエッセイ等で語られる筋少復活前後の話、ロック観、などに「人生そんなに捨てたもんじゃない」ということをひしと感じるものがあるので、今は一番、そこが好きです。もちろん、他メンバーのインタビュー等を読んでいても、同様のことを感じるのですけども。

 本城聡章:まず何よりもメロディーメーカーとしての才能を尊敬しております。この人が曲を書くようになってから、筋少ナンバーの幅が広がぐっと広がりましたし。
 昔は、いろんな意味でとんがった人、という印象があり、ライブでのハジけっぷりとともにそこがセクシーだったのですが、復活後のステージで見せる穏やかな笑顔もまた、以前とはひと味違った魅力があります。
 ああいう笑顔が出来るオーバー40というのは、波乱万丈といえど良い人生を送っているのだな、と思えるものがありますし。
 あともちろん、凍結期間に内田さんともども、屋号を守ってくれたことにも深く感謝しております。これからも筋少の楽曲に、新しいチャレンジを盛り込んでいっていただきたいものです。

 橘高文彦:生涯メタル馬鹿を貫き通しているところ。けっして王道を歩かないこのバンドに在って、本当に“ギター・ヒーロー”になってしまったところ。何がなんでもファンの期待を裏切らない美意識(メイクと衣装とステージアクション)を体現し続けているところ。バンド愛をストレートに、惜しみなく表現してくれるところ。
 バンドへのストレートな言葉だけでなく、『筋肉少女帯自伝』にて自分のリアル・オスカー・ライザーな生い立ちを告白する正直さ、お城を建てつつ、その楽曲の良さを最大限引き出してくれる的確なギターソロと、コンポーザーとしての腕前。
 等々、メタラーの一人としては愛さずにはいられない人であります。そして何より、筋少復活はこの人の行動力なしには有り得なかったので、もちろんその点も。

 内田雄一郎:いろんな意味で「端倪すべからざるお方」であるところ。
 ライブでのニコニコなお地蔵様っぷりは、今もなおキュートですが、それでいて、どっしり地に足付いたベースラインで、バンドの屋台骨をしっかり支えてくれているさまが、また魅力的。 さらに、筋少結成から現在まで、一人だけ一度もバンドを脱けたことがなく、また活動凍結期も本城さんと共に屋号を守り続けた「Mr.筋肉少女帯」であることも尊敬、かつ深く感謝しております。
 とにかくこの人を見て、そのベースを聴いていると「ベーシストこそバンドの要」という言葉の真実をひしと感じます。
 それなのに、飄々とした風情でステージに立たれるところが、またイカす。これからも益々、お茶目な恐竜(=筋少)使いさんでいていただきたいものです。


 8:まだ知らない人に、伝えたい筋少の魅力は何でしょうか。
 ・CDショップの売り場的ジャンル分けでは括れない、多彩な楽曲の魅力。
 ヘヴィネスに優れた王道ハードロックは勿論、ポルカや音頭まで取り込んで、自らの裾野を広げていく曲の数々は、「ロック」という音楽のかっこよさだけでなく、自由さをも知らしめてくれるものがあります。

 ・楽器陣のプレイヤーとしての力量の高さ。「ラフ」「自然体」というのがもてはやされて、プレイ云々ということが言われなくなって久しい、ように思うのですが、やはり、楽器やるなら(そして、聴かせてくれるなら)巧いに越したことはない、と筋少曲を聴くたびしみじみ思うので。
 バンドの音楽性の幅広さ、雑食性を可能にしていく演奏力からは、「一芸に秀でる」ということが、どれだけ自分の立ち位置を自由にしてくれるか、ということが、よくわかります。

 ・今更ながらオーケンの歌詞。けして耳ざわりの良い、ポジティブな感情を鼓舞してくれるものではないですが、「人間」として「生きる」ということに正面から向きあいつつ、でもそんな自分自身をも自虐的に笑い飛ばさずにはいられない、そんな姿勢がかえって苦悩の深さを浮き彫りにし、滑稽でもあり、けれど一種の美しさを感じずにいられない。
 己が抱える孤独や寂寥を自覚しつつ「それでも生きていかざるを得ない」とお思いの方は、それらの感情のチリチリ、ヒリヒリした痛みに効きますので是非。
 最近の歌詞は「人生いろいろあるし、人間って決していいもんじゃないけど、それでも生きていくのは楽しい」という方向性になっているようですが、それはそれで好ましく思うものです。そこらに転がる無闇にポジティブで、性善説な歌詞よりも「それでも、人生は生きるに値する」と思わせてくれるので。

 ・衣装なども含め(笑)、ロックバンド=サーカス団という姿勢をとことん見(魅)せてくれる、サービス精神溢れるライブパフォーマンス。
 演奏の凄みといい、緩急を心得るようになった(昔に比べれば)MCといい、「来た人を楽しませる」という意味でまっとうな「エンターティナーとしてのロックバンド」のライブが見れる、というのは、今時貴重。
 上に書いたオーケンの歌詞をはじめ、人が抱えもつ〈負〉(by橘高ちゃん)のエネルギーを、エンターテイメントとして見事に昇華させてしまうさまには、真に普遍的な「ロックの力」を感じずにはいられません。

 
 箇条書きにすれば、こんなところですが。
 つまり、筋肉少女帯とは、もしあなたが、ロックという音楽を愛しているなら、そして、この残酷で無慈悲な世界に残るささやかな希望のひとつがロックだと思っているなら、耳を傾けて損はないバンド、だということが言いたいのです。
 しかしまあ、いろいろと言葉足らずですいません。何とか形にはしてみようと思ってはみたものの、あまりに長く親しんでいるバンド(あくまでも音楽に、ですが)については、言葉に起こしてみるのが、なかなか難しいものでありました。
 書き続ければ書き続けるだけ、聴き続ければ聴き続けるだけ、また新たな発見や考えが、自分の中に生まれていくでしょう。